ダイドーグループホールディングス株式会社

サステナビリティに関する有識者との対話

SDGsへの貢献に向けた有識者との対談

ダイドーグループはグループミッション2030でSDGsへの取り組みを加速します

蟹江教授 × 髙松 SDGs対談

2015年に国連で採択された、持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」は、豊かで活力ある未来をつくるため17の目標・169のターゲットを定め、2030年までの達成をめざす世界規模の取り組みです。

このSDGsのめざす持続可能な社会の実現に、事業を通じて貢献することがダイドーグループとしてのミッションです。

持続可能な開発目標「SDGs(Sustainable Development Goals)」

SDGs研究の第一人者として国内外の有識者委員会などで活躍され、SDGsの啓発・普及に取り組んでおられる慶應義塾大学大学院教授 蟹江 憲史氏と社長の髙松が対談しました。

(2020年11月に実施)

※新型コロナウイルスへの対策として検温・手指消毒・マスク着用など十分に対策を行ったうえ、対談を実施しました。
SDGsを理解する上で押さえておくべきポイント
蟹江教授:
蟹江教授

重要なのはSDGsが「未来の形」を表していることです。SDGsは、世界中の全ての国がめざしており、皆が向かっている方向性が包括的に含まれているのです。このように全ての国が1つの方向性について合意したのは初めてのことで、この点において非常に価値が高いと思います。

これまで、持続可能なことというと、「環境」の話が大半でしたが、SDGsでは、「社会」や「経済」の持続性が語られています。また、一部の人だけが幸福になる一方で、不幸な人、虐げられている人がいるのはSDGsのめざす世界ではありません。公平性や社会性が守られているのもSDGsの特徴です。

ダイドーグループのSDGsに対する考え方
髙松:

当社グループが経営理念として掲げている「共存共栄」の精神は、SDGsに近い考えです。加えて、「グループミッション2030」の「世界中の人々の楽しく健やかな暮らしをクリエイトする」というのもSDGsのめざすところと共通しています。人も社会も地球も健やかである世界を、事業を通じて実現していく、こういったことをめざしています。

蟹江教授:

企業の経営者が、経営理念からSDGsの理念を捉えるのは、正統派ですね。そうすることで、社会とともに歩むことが、企業のためにもプラスになります。

髙松:

当社グループのルーツは、配置薬業です。家庭や事業所に常備薬を届け、使った分だけ商品を補充するというビジネスです。そこからドリンク剤をつくり、ドライブイン(注1)で運転手の眠気覚ましのために小型の自販機を置きドリンク剤を販売するようになりました。その後、缶コーヒーをその自販機に置くスタイルに進化させてきたのですが、これは、より身近な場所で、求められるものを、より効率的にお届けする方法を考えて、ビジネスを磨き続けてきた結果です。今後は、ビジネスの成長や新たな事業の立ち上げを検討するためにも、改めて理念の理解・浸透へ力を入れていきたいです。

(注1)ドライブイン:自動車に乗車したままで乗り入れることのできる商業施設
飲料・食品業界における課題
蟹江教授:

食品や国内飲料事業では、「フードロス」が一番大きな問題だと思います。中身だけでなく、容器をどうするかも重要です。容器については、今年レジ袋が有料化しましたが、海洋プラスチックごみの問題も注目されていますね。リサイクル問題、自分が使った後にどこにいくか、という点が注目されています。

髙松:

フードロスは業界全体で取り組むべき重要な問題と認識しています。当社においても、これまでの慣習を見直し、賞味期限を延ばす等の取り組みをしています。無駄なものを製造しない、ということも徹底していきたいです。

おっしゃる通り、容器対応も重要な問題です。3R(Reduce, Reuse, Recycle)を企業としてどうやって実践するか、も継続して考えていくべきテーマです。

蟹江教授:

ダイドーグループの独自性を発揮するなら、自販機での災害対策での貢献が効果的ではないでしょうか。大震災の際、避難所で食品を配る際、人数分に足りないので配らず、余った分は捨ててしまうということが起きたことがあります。そういう場合、自販機の方が人間よりうまく配分できるのではないかと思うのです。

災害はSDGsの色々なところに出てきているテーマです。企業として、レジリエント(注2)なビジネスをつくっていくこと、SDGsの11番にもありますが、災害が起きてもすぐ回復できる、またビジネスを続ける強さが求められています。

(注2)レジリエント:弾力、柔軟性のあるさま。「レジリエントな企業」とは、災害や不景気といった経済的なダウントレンドを柔軟に受け止めて、それを反発力に変え、以前より大きく成長する企業を指す
新型コロナウイルスの影響
蟹江教授:

新型コロナウイルスは、我々が「持続可能でなかった」という事実を教えてくれました。生活の仕方、ビジネスの仕方を改めて考える機会も与えてくれました。コロナ対策としてマスクをし、うがい、手洗いをするということが、自分を守ることだけでなく、社会を守ることにつながる、まさに、個人の動きが世界につながっていると言えます。また、企業としても変革の良い機会ではないでしょうか。DXをうまく絡み合わせることでより良い社会がつくられるのではないかと思います。

髙松:

アフターコロナで、人々の生活がずいぶん変わりました。人の動きが変わると売上に影響を与えます。例えば在宅勤務の普及により、都市部に設置した自販機の売上は下がった反面、地方を中心に売上を維持できたロケーションもあります。こういった変化にいかに素早く対応するか、が重要です。私は、「変化はチャンス」ということを、社長就任当初から言っています。自販機ビジネスにおいては、コロナ禍で、営業のリソースの配分を見直し、オンラインで商談をするなど、ビジネスプロセスの変革をより加速しました。状況は変わりましたが、それを成果につなげることが少しずつできてきています。レジリエントな企業に発展するために、いかに新たなことをやっていくかが重要だと認識しています。

「健康」の観点で、企業に求められる取り組み
髙松:

グループミッション2030では、「健康」、「環境」、「イノベーション」、「人」の4つの切り口でやるべき取り組みをまとめています。特に「健康」は事業との親和性が高い分野なので、重要視しています。

蟹江教授:

昨今、コロナ禍ということもありますが、色々なところで「健康」という言葉が聞かれます。体だけでなく、心の健康も含めて「健康」はこれからキーワードのひとつになるでしょう。

髙松:

そうですね。各社とも「健康」に着目して事業に取り組んでいます。日本は高齢化の問題があり、健康寿命をどう伸ばすかが重要です。

当社グループとしては、未病、つまり病気にならないことを実現できる商品、「健康につながる商品」を提供していきたいと考えています。

「環境」について、企業に求められる取り組み
蟹江教授:

「環境」という分野では、まず脱炭素問題が大きいですが、これから世界人口が増えていくことを考えると、限りある資源をいかに効率的に使うかが重要となってきます。この問題は、イノベーションやコラボレーションがないと解決できないと考えています。

髙松:

私も脱炭素問題は重要な問題と認識していますが、まずは「資源循環型社会にどう取り組んでいくか」ということで、2030年までにめざす目標の設定をしました。

SDGsの達成に向けた「イノベーション」と「パートナーシップ」
蟹江教授:

イノベーションは、「組み合わせ」の発想で出てくるものだと思います。例えば、飲料を販売するという本来の目的以外の機能を自販機が持つことで、さらに良いことを生み出す等の取り組みを期待したいです。特に若い人の発想は参考になると思いますね。

髙松:

その考えも、当社グループのビジネスの進め方に合致しています。当社グループでは、全従業員からアイデアを募って、良いものを表彰し実行する「チャレンジアワード」という取り組みを進めています。これまで考えられなかったことが実現できる環境はできていると自負しています。今後、さらに若手のアイデアや積極性が発揮できるような風土をつくっていきたいですね。

蟹江教授:

自分に足りないところがあれば、それを持っている人とコラボレーションすること、一人の力では解決できない、自分にない視点を外から持ってきて、ベストミックスすることが重要です。それをやらないとSDGsの大きな目標は達成できないので17番があるのです。さきほどの、開かれた風土やアイデアが出やすい風土は、こういったコラボレーションにもつながるのではないでしょうか。

髙松:
髙松

当社グループは、もともと他社との協業により事業を拡大してきました。国内飲料事業は、製造を委託し、医薬品関連事業では逆に他社から製造を委託いただくことで事業が成立しています。海外飲料事業の展開においてもパートナー企業の存在はとても重要でした。「パートナーシップ」という考えは、これまでやってきたことの延長線上にあり、実現しやすいことだと思います。

ダイドーグループとしてのSDGsへ貢献
髙松:

グループミッション2030でめざす「あるべき姿」はSDGsと重なります。経営理念としてもともと「共存共栄」を掲げていますが、それをさらに進化させ、「四方よし」(売り手よし、買い手よし、世間よし、“未来よし”)の世界をめざしていきたいです。

蟹江教授:

「共存共栄」の精神には共感しました。社会とともに発展しなければ企業が持続できないという考え方は、まさにSDGsが求めていることです。重要なのは、今の人との共存共栄だけではなく、「未来の人との共存共栄」であり、それを教えてくれるのがSDGsです。こういった理念の社内浸透を実現いただきたいですね。

SDGsに関わる取り組みは、横並びで他企業もやっていますが、差別化できることを考えてほしいです。ダイドーの場合、その一つの可能性となりそうなものが自販機です。自販機には、社会インフラとして活躍するという大きな可能性があります。

髙松:

経営理念の社内浸透は、もともとさらに強化していきたいと思っていたことでした。会社としてめざす目標を掲げるだけでなくそれが社内に浸透して、行動につながることが重要なことだと認識しています。いかに従業員が「自分事化」できるか、そしてそれを実践につなげるかは、継続してやっていくべきこれからのテーマです。

蟹江教授:

SDGsは、特定の人だけではなく、全員が一丸となって取り組むべきことだと認識してもらうことが重要です。

今、企業としてできることと、SDGsが求めていることにはギャップがありますが、どう結びつけるかを考えてほしいですね。「ダイドーだから缶コーヒー、たらみだからゼリー」で終わるのではなく、SDGsのゴールから多面的に事業をチェックして、それに向かって今何ができるか、楽しみながら考えてほしいです

髙松:

「目標を設定して完了」ではなく、「どうやって目標を実現するか」をこれからも継続して考えていきたいです。従業員一人ひとりを巻き込んで、当社グループならではの強みを発揮しながらSDGsがめざす世界の実現に貢献していきます。

蟹江 憲史氏
蟹江 憲史氏慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 教授
政策・メディア博士
慶應義塾大学SFC研究所 xSDG・ラボ代表

地球温暖化や気候変動の問題を中心に、地球環境ガバナンスの課題を研究。近著に「SDGs(持続可能な開発目標)」中央公論新社 中公新書(2020)など、著書や編著書多数

髙松 富也
髙松 富也ダイドーグループホールディングス代表取締役社長(2014年~)