ダイドーグループホールディングス株式会社

社外取締役からの提言

社外取締役による実効性評価と課題

(2020年3月)

社内/社外取締役間の議論をより活発に


独立社外取締役
森 真二

取締役会の運営については、特に2017年の持株会社への移行後、年々改善がなされ、事前の資料の共有やその内容、また当日の審議時間など、概ね十分なレベルに達しつつあります。ただ、新たに始めた希少疾病用の医療用医薬品事業については、検討をするのに十分な情報を得るまでには至っていないように感じています。当初は同じような状況だった海外飲料事業も回を重ねるごとにブラッシュアップされていきましたので、方向性やそれに向けて改善すべき事項をより徐々に精緻化し、事業運営に至ることを期待します。また、中期経営計画2021の基本方針にも掲げている「次代に向けた人材の育成」については、社内では議論が行われていることと思いますが、取締役会でも議論すべきと重要な課題と考えています。人材育成については、ガバナンスが有効に機能することにもつながりますので、さらに議論を深めていただきたいです。

運営面については、社長・社内取締役とも我々社外取締役の意見に真摯に対応していただいていますが、質疑応答が中心になっているように感じています。社外取締役同士、また監査役とは取締役会以外でも十分意見を交換する機会がありますが、社内取締役の立場からも活発な意見をいただければ、私たちにとっても非常に参考になりますし、より深い議論ができ、さらなる取締役会の活性化につながると考えています。

略歴
  • 1972年4月
    最高裁判所司法研修所入所
  • 1974年4月
    横浜地方裁判所裁判官任官
  • 1986年4月
    京都地方裁判所判事任官
  • 1989年4月
    大阪弁護士会登録
  • 2001年4月
    当社監査役就任
  • 2014年4月
    当社取締役就任(現任)

各事業の重要案件は、 全社的・中長期的な視点での議論を


独立社外取締役
井上 正隆

中期経営計画の策定年度であった2018年度は自ずと議論は中長期的なものとなりましたが、2019年度はそういった観点での議論の時間が少なかったように感じます。特に、最大の基盤である国内飲料事業の計画については、単に事業会社の課題ではなく、グループとしての重要な議案であり、持株会社の取締役会でもっと議論を尽くした方がよいと感じます。また、それらについては、取締役会だけでは時間的な制約があり、議論が限定的になりますので、非公式でも議論ができる場を増やしていいのではないかと考え、要望しています。

事前に送付される資料は簡潔で、説明もしっかりともらっています。ただ、施策の戦略的意義やそれによりめざす姿、マイルストーンとなるKPIについて、議論ができる内容に、もう一段の改善を期待します。例えば、国内飲料事業においては、「他社を圧倒する優位性の確立をめざす」という中期目標を掲げましたが、どういう姿になれば他社を圧倒できるのか、達成レベルをどう設定するのか、という議論が不可欠で、それがあって具体的な計画やロードマップに落とし込むことが可能になります。

現在は、全社的な経営戦略や重要投資案件に関する議論の時間は増えてきました。ただ、株主利益を守る役割を持つ者として、より高いリターンを求める投資基準や、損失を引きずらない撤退基準などを整備し、目標達成に向けた執念をもっと持っていただきたいと思います。

略歴
  • 1978年4月
    株式会社中埜酢店入社
  • 2005年7月
    株式会社ミツカングループ本社取締役就任
  • 2007年5月
    同社常務取締役就任
  • 2009年10月
    同社常勤監査役就任
  • 2011年3月
    同社経営監査室担当部長
  • 2014年3月
    株式会社Mizkan Holdings 経営企画本部担当部長
  • 2016年3月
    同社退社
  • 2016年4月
    当社取締役就任(現任)