ダイドーグループホールディングス株式会社

サステナビリティに関する有識者との対話

サステナビリティ経営に関する有識者との鼎談

「共存共栄」を継承するDyDoグループの
「サステナビリティ」とは

有識者との鼎談

サステナビリティ経営に対する理解を深め、当社の取り組むべき課題を明確にすべく、国内大手機関投資家の1社であるアセットマネジメントOne株式会社において飲料・食品セクターのアナリストとして長く活躍し、現在は同社でESGマクロリサーチアナリストを務める 矢野 節子氏、SDGsを土台としたビジネスモデルやサステナビリティ方針策定・実施などの企業支援を行っているSDGパートナーズ代表 田瀬 和夫氏をお招きし、ダイドーグループホールディングス代表取締役社長 髙松 富也が対話を行いました。

(2022年5月に実施)

なぜ企業の「サステナビリティ」への取り組みが注目されるのか
矢野氏:
矢野氏

社会のサステナビリティなくして企業のサステナブルな成長はありえません。企業のビジョン、リソースに沿った重要課題(マテリアリティ)を設定し、社会課題の解決を自社の収益機会に結び付けることは中長期の企業価値向上を図る上で不可欠な取り組みです。

飲料・食品業界には、フードロスや気候変動、人権など対応すべき、いわば「守り」の課題が多くあります。

コストはかかりますが、こうした課題と社会への価値提供につながる「攻め」のマテリアリティをうまく結び付け解決策を提供し、トータルでプラスにしていくことで社会のサステナビリティと自社のサステナブルな成長を両立できると考えています。

田瀬氏:

現在は企業単体ではなく、サプライチェーン全体で自然資産を減少させない経済活動が求められています。そして、社会や地球に対してプラスの価値を提供し、社会の要望や変化に対応していくことが企業の利益につながっていきます。この非常に難しいミッションに企業は挑戦し、実現することを求められています。

ダイドーグループのサステナビリティに関する考え方
髙松:

グループ理念に掲げる共存共栄の精神は、創業から今日まで、事業に取り組む上での大原則として私たちの組織風土になっています。つまり、私たちのグループ理念はサステナビリティの考えそのものだと言えます。サステナビリティの実現に向けて、事業を通じて貢献していくことが当社グループの使命だと思います。

田瀬氏:
田瀬氏

企業は利益を出しつつも、人や社会に対して良いことを行う必要があります。DyDoグループのマテリアリティについて、従業員の方々と議論する機会がありましたが、地域や社会に価値を提供していくかを理念に基づき考え、行動している点に感銘を受けました。グループ理念が浸透していることを感じます。

ダイドーグループの本質的な強み
田瀬氏:

サステナビリティの実現には企業の強みを進化させながら、社会の変化に対応することが重要ですが、DyDoグループの本質的な強みについてどのようにお考えでしょうか。

髙松:

お客様との接点は創業時の薬箱から自販機へと変化していますが、事業に対する基本的な考えは変わっていません。それは、「お客様の求めるものをお客様の近くでお届けする」ことであり、このビジネスモデルを磨き続けてきたことが当社グループの強みであると考えています。

矢野氏:

飲料や食品を扱う企業で息の長い成長を成し遂げている会社の共通点は2点あります。第一は顧客や社会の変化にコンシャス(意識的)であること、第二は他の業界と連携を取りながら新しい顧客接点(販路)をつくることに果敢であることです。全国に自販機という顧客接点を広げ、維持する中で様々なパートナーシップを築き上げた経験もDyDoグループの本質的な強みであると思います。業界の変革期だからこそ、リーディングカンパニーとなり得る素養と経験を既に備えていると感じます。

田瀬氏:

DyDoグループのマテリアリティに関しても適切に特定されており、その中で品質を取り上げられたことはとても大切なことだと思います。品質は目に見えませんが、食品・飲料メーカーの根幹です。安全安心な品質を提供していることは、従業員の自社商品への誇りにつながり、モチベーション向上にも貢献し、企業の強みとなっていくと考えます。

髙松:
髙松

マテリアリティの特定にあたっては、従業員へのアンケートだけではなく、取引先、ロケーションオーナーなど、様々なステークホルダーへヒアリングを行いました。外部の意見も踏まえたマテリアリティに取り組むことで本質的な強みを進化させ、サステナブルな成長を遂げつつも、社会へ提供する価値を向上させたいと考えています。そのためにも、グループ理念の後段に掲げたチャレンジ精神の浸透により、地域や社会、そしてお客様に寄り添う活動の実践を加速することを従業員には期待しています。

  • こころとからだに
    おいしい商品の
    提供

  • 品質の追求による
    安全・安心の提供

  • 社会的意義の高い
    医療用医薬品の
    提供

  • 脱炭素社会・
    循環型社会への
    貢献

  • 自販機ビジネスの
    進化による
    社会的価値の創造

  • DX推進と
    IT基盤の構築

  • コーポレート
    ガバナンスの
    強化

  • 従業員の
    ワークライフ
    シナジーの実現/
    ダイバーシティの推進

  • DyDoはお客様と共に。
    お客様の健康をつくります
    おいしさへの飽くなき探求心のもと、世界中のお客様の健康や生活の質向上に貢献する商品・サービスをお届けします。
  • DyDoは社会と共に。
    社会変革をリードします
    持続可能な社会のために、常識に捉われず、新たな視点から社会変革を自らリードします。
  • DyDoは次代と共に。
    次代に向けて新たな価値を生み出します
    革新的なテクノロジーを活用し、すべてのステークホルダーにワクワクや驚きといった体験を提供します。
  • DyDoは人と共に。
    人と人のつながりをつくります
    グループ内外と柔軟に連携し、多様な価値観や能力を尊重しながら新たな共存共栄を推進します。
ダイドーの自販機が社会インフラとして求められ続けるために
髙松:

中期経営計画2021では、自販機台数の増加という成果が現れました。それらを維持しながらも、中期経営計画2026では自販機ビジネスの再成長に注力し、自販機が社会のインフラとして求められる存在になるよう取り組んでいきます。そのために自販機のあり方を再定義し、企業や社会の課題を解決できる価値を提供するものとして進化させるためデジタルの力も活用していきます。自販機ネットワークのデジタル化で効率的なオペレーション体制をつくり上げ、持続的に顧客接点の拡大ができる仕組みづくりにチャレンジしています。

矢野氏:
矢野氏

DyDoグループは、自販機を通じて価値を提供するために様々な取り組みを行っていますが、環境面などから自販機に対する世間の目は厳しいものがあります。自販機が社会のインフラとして求められるものであり続けるためには、カーボンフリー自販機を増やしていくことが必要です。様々な業界と連携して、ぜひ本格的に推進してほしいと思います。

髙松:

当社グループは、2050年までに自販機ビジネスにおけるカーボンニュートラルをめざすという宣言を行いましたが、どのように実現していくかが今後の課題であると認識しています。そのためには、すでに行っているグリーン電力証書の活用だけでなく、デジタルの力を活用したスマート・オペレーション(注1)体制の確立を通じた業務プロセスの改革や、さらなる自販機の使用年数の長寿命化、フロンティアベンダー(注2)の展開にも注力してまいります。

(注1)スマート・オペレーション:これまでのオペレーションを抜本的に見直し、生産性の高い新たな業務フローとなる、当社の造語
(注2)フロンティアベンダー:延命化(ユニットの整備・入替)と機能付加した自販機
田瀬氏:
田瀬氏

災害時に飲料を提供できる自販機など、既に世の中に必要とされ、役に立っています。今後は少子高齢化に加え、リモートワークの浸透による働き方の変化やデジタル化などにより、日本の地域社会には大きな変化が予測できる中で、自販機の存在が今まで以上に大きなものになっていく可能性があります。自販機の利便性と重要性を高めるためにも、自販機はデジタルの力を大いに活用することで、変化していく地域社会の課題へ対応していくことに期待しています。

今後対応すべき社会の変化について
矢野氏:

昨今の世界情勢から、原材料調達の重要性が益々増しており、いかに安定した調達を確保できるかが事業継続において重要な課題です。同時にその調達においては、人権や環境に配慮しなければなりません。調達に関しての基本方針と戦略を持つことが企業には求められています。

髙松:
髙松

当社は創業以来、パートナーとして歩んできた企業と共に成長を遂げてきました。調達においての不確実性が高まっている中で、変化に柔軟に対応できるよう従来のパートナーシップも強化しつつ、多様な価値観や能力の獲得に向けて新たなパートナーシップを構築していきます。

田瀬氏:

DyDoグループの責任としては、サステナビリティはコストではなく機会であるということをサプライチェーン含めて広めていくことだと思います。そしてサプライチェーン全体の強靭さを身に着けることに取り組んでいってほしいですね。

ダイドーグループが取り組むべき「人財戦略」
髙松:

中期経営計画2026において、人財戦略を重要なテーマのひとつとしています。サステナビリティ経営における人財戦略の重要性については、どのようにお考えでしょうか。

矢野氏:

ダイバーシティ&インクルージョンはイノベーションの源泉であり、ダイバーシティが進んでいる企業はイノベーティブな商品の比率が多い傾向があります。今後はイノベーティブであることが競争優位の根幹になってきますので、経営戦略と人財戦略を結び付け、DyDoグループらしい取り組みやKPIを策定してほしいと思います。

田瀬氏:

多様な価値観や能力がある中で意見を言える組織が強いことは明確ですが、その根本には心理的安全性が大切になってきます。ミスをしたらミスをしたと言える環境こそが、改善や新たなアイディアが生まれることにつながっていくと思います。DyDoグループには、心理的安全性とダイバーシティをあわせ持つことで、従業員全員が能力を発揮できる組織をめざしてほしいですね。

髙松:

当社グループが求める人材像として「自律型プロフェッショナル人材」を掲げています。従業員の成長機会やパフォーマンスを発揮できる働きやすい職場を提供するだけでなく、安心してチャレンジを続けられる環境をつくり、企業理念が組織風土として定着するよう努めていきます。ダイバーシティを含め、まだ課題は多くあります。グループミッション2030の達成に向け、戦略やKPIをさらにブラッシュアップし、経営陣と従業員が一体となって、サステナビリティ経営を実現していきます。

矢野 節子氏
矢野 節子氏アセットマネジメントOne株式会社
ESGマクロリサーチアナリスト

飲料・食品セクターのアナリストとして長く活躍し、現在は持続可能な社会の実現に向け、運用のサステナビリティ・トランスフォーメーションを推進。

田瀬 和夫氏
田瀬 和夫氏SDGパートナーズ有限会社 代表取締役CEO
国連フォーラム共同代表

ビジネスの観点からSDGsを追求し、数多くの企業を支援。近著に
「SDGs思考 社会共創編 価値転換のその先へ プラスサム資本主義を目指す世界」インプレス(2022)。

髙松富也
髙松 富也ダイドーグループホールディングス代表取締役社長(2014年~)